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勝手に読書感想文。漫画も映画も含みます

カテゴリー: 漫画

  • 『薬が届くまで ここが知りたい』で、出版業界のビジネスを知る

    『文春まんが 読みとくシリーズ5 薬が届くまで ここが知りたい!』という、子供向けの学習漫画を読みました。

    読んでいて、アルフレッサという医薬品卸会社のことがよく出てくるなと思ったら、企業協賛型のビジネスモデルで出版された本なんですね。アルフレッサってこの業界ではトップクラスらしいです。この業界に疎いので、全然知りませんでした。

    そしてこの、企業協賛型の学習漫画出版ビジネスについては、こちらのPDF資料で、仕組みが理解できました。

    文春まんが 読みとくシリーズ

    貴社の広報、CSR、ブランディングのお手伝いをいたします

    [ご協賛のご案内]
    文藝春秋が「学習まんが」で企業・団体の商品や事業を子どもたちに伝えます

    全国の小学校図書室、主要公共図書館に寄贈、子どもたちに直接読んでもらえます

    ちなみに私は稲城市立図書館で借りた「大人たち」でした。

    企業がお金を出して学習まんがを作って、自社あるいは自社が携わるビジネスについて子供たちに興味を持ってもらう。宣伝的な側面もありますが、学習要素も十分にあるので、それを無償で提供することはCSR的な活動ともみなされる、という感じですね。

    で、その活動(企画して、シナリオライターや漫画家とかに執筆依頼して、印刷して、小学校や図書館と調整したうえで、配布する)を各企業が自力でやるのは大変なので、文藝春秋がワンストップでこのサービスを提供しているという具合です。

    さて、このサービスのお値段(「ご協賛価格」)はHOWマッチ!

    ●ご協賛価格(定価) 33,000,000円(税別)

    他にも、電子書籍として自社ホームページで公開するとか、海外向けの翻訳本とか、販促ツール向けの簡易版を作るとか、そんな付帯サービスも、別途費用で提供しています。

    あと、企業色を出しすぎたものでなければ「公益社団法人日本PTA 全国協議会」の推薦を受けることができるそうです。各社で独自に活動していたら、そんな調整できそうにないですもんね。

    なるほど、出版企業にはこんなビジネスモデルがあったんですね。今回は、『出版企業のひみつ 学習まんがが届くまで ここが知りたい!』をお届けしました。(おわり)

    ・・・というのは冗談ですが、業界によってはこういうアプローチって有効ですよね。製薬会社はOTC医薬品(市販薬)のCMしていたり、商品に企業名が書いてあったりするし、処方薬だって製造者・販売者は書いてあるから、なんとなく知っている。病院とか薬局は消費者(患者)との接点があるし。でも、医薬品卸会社って地味ですよね。

    そもそも一般の人は意識しない。意識しても、メーカー(製薬会社)から買って、小売り(薬局)に売っているだけでしょ、なんて思いかねない。少なくとも私は、流通における卸売りの機能というものを、子どもの頃は理解していなかった。

    漫画の中で流通過程が紹介されていて、それを読めば製薬会社が小売りまで直接薬を届けるなんてのが現実的でないことが分かるでしょうし、パンデミック時や自然災害時のバッファ機能としての役割の重要性も実感できます。

    以前読んだ『薬剤師のひみつ』も、ブログを書いたときには理解していませんでしたが、この企業協賛型の学習漫画出版ビジネスのパターンなんですね。こちらは出版社が学研で、企業が公益社団法人 日本薬剤師会です。個別の企業ではないので、企業色みたいなのは全然なかったですね。でも、主人公の女の子が、「将来、薬剤師さんになろうと思います!」という作文読み上げるシーンが出てくるあたりに、協賛側の願いを感じました。

    『薬が届くまで』のほうは姉弟が主人公で、お姉さんは薬剤師を、弟はMS(Marketing Specialist:医薬品卸販売担当者)を目指すというラストシーンだったりします。ちょっとベタな感じはありますが、どの業界でも人材の確保は重要ですからね。

  • 小田扉『ぐるぐるゴロー』の世界

    ひと月くらい前に大人買いした小田扉作品を少しずつ読んで楽しんでいます。大人買いと言っても単行本を3冊買っただけですが。これくらいの冊数を買うのは何とと呼べばいいでしょうか。とりあえず、「中二買い」にしておきます。

    漫画は一気に読めるけど、そうするのはなんだかもったいない。今回読んだのは『ぐるぐるゴロー』です。

    1とか2とか数字がついていないということは、1巻で完結ということでしょうか。巻末の初出一覧を見ると、「webアクション」と書いてある。紙の雑誌ではなく、オンラインで公開されて、単行本になるときに初めて紙になるということでしょうか。そんな時代になっているのか。漫画雑誌を買わなくなって久しく、またオンラインで漫画を読むという感覚もピンとこないですが、私のような紙ファンがいるから単行本は今でも発売されるのでしょうか。

    簡単に言うと短編集です。一話完結で、基本的にシチュエーションもキャラクターも違う独立した話が11話入っていました。

    第1話『ゴルゴン地蔵』では、皆さんもご存じのあの銅像、時に着衣で時に半裸で、そして、時に全裸でサックスを吹いているあの男の謎が判明します。いや、判明はしません。

    第3話は表題作の『ぐるぐるゴロー』。小田扉先生が得意とする(?)動物目線モノです。でも、今回はちょっと違っていて、人の目線を通した犬の目線という観点です。わかる?

    私が一番好きだったのは、第5話『飛べ!八つ裂き光輪!』です。人相が悪く、挙動が不審なため、冤罪をかけられ死刑になる電気屋さんの話。天井から現れ、床へ抜けて去っていくだけの神様とか、絞首台から地獄への落下シーンなど描写も凝っています。ラストのおばあさんからの「がんばったねえ」の言葉で、すべてが報われます。

    それぞれ独立した話だと書きましたが、第8話~第11話の4話についてはゆるく関連していて、一つのワールドを作っていました。

    第8話『見聞録』では、この世とは違うもう一つの世界が出てきます。この二つの世界はほとんど関係がなさそうに見えて、実は密接な対応があるという不思議なもの。

    第9話の『成り上がれ!』は、「まるで未来を見てきたかのように」アイデアを思いつく男(品方しなかた)が億万長者になる話。

    第10話『岩田の話』は、虚構の箱庭で育てられた男(岩田)の復讐の話。この箱庭を作りだしたのが、第9話の品方だったりします。

    第11話『異人クエスト』では、現実世界と、夢の世界と、ゲームの世界がクロスオーバーします。これらの関係に第8話の異世界との類似性があります。そして、「んー たぶん 40才くらい」になった岩田が登場します。

    『岩田の話』は、『トゥルーマン・ショー』との類似点も感じられますが、岩田に関しては、箱庭からの脱出後の人生、そして、『異人クエスト』で岩田が「最後も嘘みたいな終わり方だ・・・」とつぶやくことになる終焉まで描かれています。

    奇抜な設定の中に、ギャグを散りばめつつも、考えさせられるような、感動するようなストーリーを構成する、小田扉ワールド全開の短編集でした。

  • 小田扉『つくだ☆マジカル』

    好きな漫画家を問われれば、迷わず小田扉と答えます。小田扉先生の代表作は、なんと言っても『団地ともお』でしょう。アニメ化されたものがNHKで放送されていたので、ご存じの方も多いでしょう。私もアニメから入ったくちで、その後、コミック全33巻をそろえました。

    大くくりに言えば、『ともお』はギャグ漫画に分類されるのかもしれませんが、読んでいただければ、それだけではないことに気づくはずです。けっこう波があります。あたりはずれというか、好みににはまるはまらないというか。その時の企画次第のタモリ倶楽部みたいな。

    カラスや犬が主人公の回とか。友情のようなものの回とか。ひたすらくだらない回とか。最後までよくわからない回とか。で、そんな中に、第4巻に収録されている「幼なじみは元気かいともお」のような、とんでもない感動作が混ざっています。

    そして、ちょっと前に読んだ『フランチャイズ! つくだ☆マジカル』(全2巻)も、変な話でしt。そして、壮大なストーリーがありました。

    例によって、基本はギャグ漫画です。コンビニを経営しているおばさんが魔法使い(元魔法少女)であることを目撃した女子高生が、そこでバイトを始める、みたいな導入部です。

    魔法使いと魔物の対立みたいなファンタジーっぽい話もありつつ、戦いにやぶれ人間の世界に取り残された魔物たちの衣食住をささえるためのお弁当工場経営みたいな、変に実務的な視点でのストーリー展開もあります。

    私が好きなのは、モノに魂がやどるというエピソード。何話かにまたがって展開されています。コンビニの備品たちの反乱という伏線(?)があり、倒産した家電メーカーの工場に住み着く電気シェーバーの成仏、そして、あつみ(女子高生)曰く「ヒゲダルマって感じ。」(第1巻)の、ボナンザ(元魔法少女)の旦那さんの出生の秘密につながる流れのところです。くどくどと説明しないのがいいですね。神棚にひっそりと置かれたシェーバーとか、落ちて割れたダルマとか、動かないものに語らせるやりかたが秀逸です。

    ちなみに、この『つくだ☆マジカル』、時間があっちにいったり、こっちにいったりして、けっこう混乱します。冒頭に「〇年前」と書かれているのですが、それが1年刻みでさかのぼったりして、どの話がどこにつながるのか、わけがわからなくなるときがあります。が、それまた大きなドラマをつくる仕掛けになっているので、そこはガマンしてください。クリストファー・ノーランの映画みたいに、2, 3回読めば分かるのではないかと思います。

  • いしいひさいち氏のミステリー作品『COMICAL MYSTERY TOUR』

    創元推理文庫。江戸川乱歩、北村薫、有栖川有栖などのミステリー作家が並ぶ中の「いしいひさいち」。ひらがな読みにくいなあ。いや、そこではない。漫画?

    タイトルは、『COMICAL MYSTERY TOUR』。自治体の図書館になぜか3作目の「サイコの挨拶」だけあったので借りてみました。

    普通に(?)、おなじみ いしいひさいち氏の4コマ or 8コマ or 1ページの漫画でした。

    いしいひさいち氏といえば、私は中学生の頃に『がんばれタブチくん』と『スクラップスチック』を読んでいました。タブチくんのほうは有名ですが、スクラップスチックは知らないですよね? たぶん “Scrap” と “Slapstick” を合わせた造語だと思います。廃棄物のようなドタバタ漫画ということでしょうか。

    母が社員寮の古新聞・古本置き場から拾ってきました。子供の私は内容の半分も理解できていなかった気がしますが(字も手書きで読むのが難しいし)、滲み出るそこはかとない面白さが好きで、何度も読んでました。

    タブチくんが奥さんに大事な話をするときに、「ミヨ子、そこへお座り」「座ってるわよ」みたいな天丼が好きでした。

    で、コミカル・ミステリー・ツアーですが、ホームズとワトスンのシリーズや、ミステリ作品名(またはそのパロディ名)がタイトルについたものが収録されていました。後者はなかなか解釈するのが難しく、そのミステリー作品を読んでいたり、何となくでも内容を知っていると、笑えるのかもしれないけど、作家名も作品名も知らないような場合は、何一つ理解できないまま四コマが終了というものも多かったです。そこは「味」だと思いましょう。すべて理解しようなんてのが、おこがましいです。

    で、読み進めていると、

    (地面には靴と裸足が交互になっている足跡)

    ホームズ「みたまえワトスン君 犯人の足跡だッ」

    ワトスン「君の足跡としか思えんがね。」

    (見ると、ホームズは片方しか靴を履いていない)

    みたいな1コマ漫画があって、既視感。絶対にこれ見たことあるんですよね。母が拾ってきた いしいひさいち作品に、『コミカル・ミステリー・ツアー』も含まれていたのでしょうか。それとも、作品集的なものに含まれていたのでしょうか。30年以上前のことなので、もはや分かりません。

    巻末の初出誌一覧を見れば分かるかもと思いきや、日付がなかったり、本編の各作品との紐づけ情報が書かれていないため、あまり手掛かりになりません。

    この初出誌一覧、「講談社 小説現代」などの記載に混じって、「清興建設 おりがみ」というのがあります。社内報? 社内報にいしいひさいち氏の連載があったの??? 清興建設にお勤めの方からの連絡をお待ちします。

    時事ネタっぽいのもありまして。グァテマラの警察がアメリカ人ジャーナリストらしき人を取り調べしているシーンで、アメリカ人があまりにもグァテマラの警察に対して偏見(「警察とは名ばかり 無差別の処刑と拷問が仕事のサディスト集団か!」とか)を持った発言をするので、

    警察A:「こいつも行方不明にしてやりましょうか。」

    警察B:「だめだ。国内の治安はメチャクチャのくせに 自国民が3人行方不明になっただけで戦争しかけてくるぞ アメリカは。」

    なんだかベネズエラを彷彿とさせます。中南米の国は昔から、こんな目にあっていたんですね。

  • 『薬剤師のひみつ』

    薬剤師が事件のカギを握るミステリー・・・ではなく、子供向けの学習漫画です。仕事の都合で、創薬関連の知識を増やしたいなと思い読みました。学術的、教科書的な書籍も読んだりはしているのですが、学生の時に生物を履修していなかった私にはなかなかハードルが高い。

    こんな時には学習漫画からスタートです。さすがに子供向けとあって、知っている内容が多いです。かといって全て知っているわけではないから、知識の隙間を埋めていく感じです。知らないことだらけの本で学ぶより、知っていることだらけの本で「隙間」の部分を学んでいく方が、精神的にはだいぶ楽です。

    あと、ストーリー仕立てになっているので、記憶に残りやすい(気がする)。意味記憶より、エピソード記憶のほうが残りやすいという、あれですね。

    思えば、小学生のときに「体のひみつ」だか「体のふしぎ」だか、そんなタイトルの学習漫画を愛読しておりまして、おぼろげではありますが、そこに書かれていた内容を今でも覚えております。

    たしか、髪の薄い作者(漫画家)が、「髪が抜けた、抜けた」と大騒ぎするエピソードがありました。これは不要なエピソードですね。

    この「薬剤師のひみつ」だと、子供たち(姉弟)が主人公で、おばあちゃんの入院・退院をきっかけに、薬剤師のお姉さんと知り合いになって、病院で働く薬剤師、在宅医療の薬剤師のことを教えてもらい、そのお姉さんの知り合いの製薬会社の研究者に話を聞きに行ったり、みたいな感じ。子供たちは薬剤師という職業に興味を持ち、薬学部の制度(4年制、6年生など)の解説も出てきます。

    で、ここまで書いて気づいたんですが、商品リンクを貼ろうと思って、アマゾンや楽天を検索したけど出てこない。絶版?

    ウェブ検索すると出版元のサイトには情報がありました。図書館向けのみに販売している図書とかなんでしょうか。私は自治体の図書館で借りたのですが、本に値段も書いてありません。

    そして、なんと学研のサイトで無料で全部読めます。

    学研まんがひみつ文庫 – 薬剤師のひみつ

    どういうビジネスモデルなんだ?

    サイトを見てみると、「まんがひみつ文庫」読書感想文コンクール、なるものを開催しているみたいなので、応募しようかと思いましたが、応募資格「全国の小学生」とあり、断念しました。

    2026-03-01追記
    同じようなタイプの本を読んで、企業協賛型学習漫画ビジネスモデルを理解しました。
    『薬が届くまで ここが知りたい』で、出版業界のビジネスを知る