ひと月くらい前に大人買いした小田扉作品を少しずつ読んで楽しんでいます。大人買いと言っても単行本を3冊買っただけですが。これくらいの冊数を買うのは何とと呼べばいいでしょうか。とりあえず、「中二買い」にしておきます。
漫画は一気に読めるけど、そうするのはなんだかもったいない。今回読んだのは『ぐるぐるゴロー』です。
1とか2とか数字がついていないということは、1巻で完結ということでしょうか。巻末の初出一覧を見ると、「webアクション」と書いてある。紙の雑誌ではなく、オンラインで公開されて、単行本になるときに初めて紙になるということでしょうか。そんな時代になっているのか。漫画雑誌を買わなくなって久しく、またオンラインで漫画を読むという感覚もピンとこないですが、私のような紙ファンがいるから単行本は今でも発売されるのでしょうか。
簡単に言うと短編集です。一話完結で、基本的にシチュエーションもキャラクターも違う独立した話が11話入っていました。
第1話『ゴルゴン地蔵』では、皆さんもご存じのあの銅像、時に着衣で、時に半裸で、そして、時に全裸でサックスを吹いているあの男の謎が判明します。いや、判明はしません。
第3話は表題作の『ぐるぐるゴロー』。小田扉先生が得意とする(?)動物目線モノです。でも、今回はちょっと違っていて、人の目線を通した犬の目線という観点です。わかる?
私が一番好きだったのは、第5話『飛べ!八つ裂き光輪!』です。人相が悪く、挙動が不審なため、冤罪をかけられ死刑になる電気屋さんの話。天井から現れ、床へ抜けて去っていくだけの神様とか、絞首台から地獄への落下シーンなど描写も凝っています。ラストのおばあさんからの「がんばったねえ」の言葉で、すべてが報われます。
それぞれ独立した話だと書きましたが、第8話~第11話の4話についてはゆるく関連していて、一つのワールドを作っていました。
第8話『見聞録』では、この世とは違うもう一つの世界が出てきます。この二つの世界はほとんど関係がなさそうに見えて、実は密接な対応があるという不思議なもの。
第9話の『成り上がれ!』は、「まるで未来を見てきたかのように」アイデアを思いつく男(品方)が億万長者になる話。
第10話『岩田の話』は、虚構の箱庭で育てられた男(岩田)の復讐の話。この箱庭を作りだしたのが、第9話の品方だったりします。
第11話『異人クエスト』では、現実世界と、夢の世界と、ゲームの世界がクロスオーバーします。これらの関係に第8話の異世界との類似性があります。そして、「んー たぶん 40才くらい」になった岩田が登場します。
『岩田の話』は、『トゥルーマン・ショー』との類似点も感じられますが、岩田に関しては、箱庭からの脱出後の人生、そして、『異人クエスト』で岩田が「最後も嘘みたいな終わり方だ・・・」とつぶやくことになる終焉まで描かれています。
奇抜な設定の中に、ギャグを散りばめつつも、考えさせられるような、感動するようなストーリーを構成する、小田扉ワールド全開の短編集でした。


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