『認知症はどのような病気か』(伊古田俊夫 著)は、ブルーバックスのシリーズの一冊です。職場の人に勧められて読みました。ブルーバックスとは講談社の科学系の新書シリーズで、大きな書店だと、新書コーナーから独立してブルーバックスのコーナーがあるくらいです。
ブルーバックスの巻末には「発刊のことば」として「科学をあなたのポケットに」と書かれています。新書サイズがポケットに入るのか、というのが議論が分かれるところですが、冬場(コートとかダウンとか)はいけるが、夏場は無理、ということにしておこうと思います。
知ることができて有益だったのは、認知症にはいろいろある、というところです。
認知症は、いったんは正常に発達した知的能力が、病気や事故などによって損なわれ、仕事や家庭生活に支障をきたした状態を指します。じつは、認知症という言葉は単一の病気を示す病名ではなく、共通の症状でまとめられた「状態像」を指す言葉です。
「共通の症状」といっても、それは大きな分類になるので、細かく見ていくと症状も異なるし、原因も違います。事故が原因の認知症っていうのもあるんですね。
アルツハイマーは一番数が多く(6割を占めるそうです)、メジャーなので、症状もそのイメージに引っ張られてしまいそうになりますが、認知症全般でいうと、症状はもっと多彩です。
第2章の「認知症とはどういう病気か?」に書かれていることをちょっとあげてみると、「アルツハイマー型認知症」は記憶障害や見当識障害、「前頭側頭葉変性症」は性格変化、言葉の意味が分からなくなる、「レビー小体型認知症」は幻視やパーキンソン症状など。
認知症に幻視のイメージありました? 患者からしたら「見えている」ので、そのことを周囲に話したら、「おじいちゃん、おかしくなった」って思われちゃう。判断力に異常はなくても。
それぞれ各節で行動の具体例があげられていて、記憶障害だと「同じものを何回も買ってくる」、見当識障害だと「自分の置かれた状況を自覚できない」、性格変化だと「身勝手なふるまいが増える」、幻視だと「窓からキツネが入ってきて寝床に潜り込んだ」のが見える、とか。ちょっとファンタジーです。思い当たる人は注意してください。
で、もし思い当たっちゃったら、病院の何科にいけばいいのというのも悩みどころですが、それについても「第7章『納得のいく診療』を受けるために」の「どの診療科を受診するか?」に書かれています。
状況によって選択肢が変わるので、一言では書ききれませんが、候補としては、脳神経内科、脳神経外科、精神科、総合診療科、老年内科(老年科)、外来の名称なら、「物忘れ外来」「認知症外来」などもあるそうです。
「納得のいく診断」に関連して、それ盲点だよなあと思ったのは、「間違った診断が下されやすい場合」として、
本人の話だけで判断される場合、家族や身近な人の話を聞いてもらえない場合
というのがありました。認知症を患っている本人の話だけで診断ってのは難しいですよね。家族を連れていきましょう。
認知症には、問題を隠そうとする、うまくできていることを装おうとする、という症状もあるそうですので、そのあたりも留意点ですね。

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