『DTOPIA デートピア』(安堂ホセ 著)を読もうと思ったのは、芥川賞受賞作をかたっぱしから読んでみようと思ったから。じゃあ、第1回から読んでみようと思い、確認してみると『蒼氓』(石川達三 著)だそうだ。まず、タイトルが読めない(「そうぼう」と読むらしいが、読めても意味が分からない)。受賞年は1935年。戦前? もはや古典。芥川賞初心者(3, 4冊読んだ記憶がある)には厳しそう、ということで、新しい方から読んでいくことにした。でも、図書館で借りるとなると、こういう新しい受賞作は予約がいっぱい入っていたりして・・・と思ったら、予約者はおらず、すぐに借りられる状況だった。私が利用している自治体の図書館では、このデートピアは各分館で1冊ずつ所蔵されているし、掲載された雑誌の文藝春秋も所蔵されている。行列は長くても回転が速いラーメン屋みたいな感じ。
のようなきっかけで読み始めたので事前知識はゼロ。これは理想的な状況なんじゃないか。ただこの図書館では外した帯が、表紙の裏に貼り付けてあり、
ひとりの女を巡り、世界各国10人の男たちが繰り広げる恋愛サバイバル―人種も、性も、国境も。すべての “当たり前” が崩れ落ちる、新時代の傑作
などと書かれてある。おぉ、エンタメ作品みたいな煽り文。
南のリゾート島で行われる、いわゆる恋愛リアリティショーみたいなシチュエーション。この手の番組(昔はテレビだったけど、今は動画配信?)見たことないなー。そんな番組があるというのは断片的に知っているけど。あ、でも今思えばフジテレビでやってた『あいのり』は、それだったのか。確か学生の頃だったから、ちょこっと見ていた気がする。「ロマンスさん」というワードには記憶があるが、どんな人だったか覚えていない。
で、このようなリアルとフィクションの狭間のようなコンテンツをテーマにした作品で思い出したのが、『#拡散希望』(短編集『#真相をお話しします』(結城真一郎 著)に収録)。たしか、YouTube(のようなもの)での「移住してみた」みたいなシチュエーションだったような。(借りて読んだので、手元になく、うろ覚え)
この『#拡散希望』はミステリーエンタメ作品なので、伏線があって、回収あって、オチがあって、みたいな感じで安心して読めた。
で、この感じで「デートピア」を読むと、けっこうとまどう。恋愛リアリティショーの状況で何か起きるのかと思ったら、途中から出演者(日本代表?)の中学生時代の友人に焦点が移る。ここがメインというくらい手厚い。その後、またこの南の島に話が戻ってきたから、何かどんでん返しがあるぞあるぞと思うが、ない。
そうか、芥川賞受賞作ってそんな感じだった。エンタメ作品のように分かりやすい大団円を期待してはいけない。何かが起きなかったと書いたが、分かりやすいオチがなかっただけで、何かは起きている。いろんなことがほのめかされている。それを感じ取れるかどうかが、この手の作品を楽しめるかどうかなのかも。
で、本にはたいてい著者のプロフィールが載っているが、安堂ホセ氏の属性については「1994年、東京生まれ」ということしか書かれていない。あとは、作品名や受賞歴など。男か女かも分からない(ホセだから男か)。ペンネームだろうか、ハーフか外国人だろうか。よく見かける学歴なども書かれていない。どんな属性なのかが気になってしまう。
・・・そんな人に向けた作品なんじゃないかと思った。

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