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勝手に読書感想文。漫画も映画も含みます

映画『うぬぼれ』(2013英)と『悪魔』(2021英)

BS12(トウェルビ)の「土曜しょ~と劇場」という番組があって、短篇映画を放送しています。たまっていた録画の中から『うぬぼれ』(Oliver Goodrum監督)という短篇映画を見ました。

タイトルだけ見ると、美少年が出てくるフランスあたりの映画かと思ったのですが、全然違う重たいテーマの映画でした。

知的障碍をもつ娘 タイラー(高校生くらい?)と、母親 アンジェラは二人で暮らしています。マイケルという少年が率いる地元のグループが、なぜかこの母娘に執拗に嫌がらせをしてくる。警察に相談しても動いてくれず、教会の神父に相談するも何の助けにもならず、追い詰められていくという話です。

不良少年にちょっかい出されたくらいで警察が動いてくれないというのは、まだ分かりますが、そんなレベルではないんですよね。最初は、道ですれ違うときに、絡んでくるくらいだったのですが、その後、車に卵をぶつけてきたり、家や車に落書きしたり、アンジェラに向かって真っ赤な塗料を投げつけたり、タイラーが一人のときに林に連れ込んでナイフで髪を切ったり、しかもその時に故意ではなかったのだが、タイラーの頭に怪我までさせたりしてます。

アンジェラから事情を聴いているピーター巡査は、母娘の力になりたいと思っているものの、上司にほっておくように命令され、動けないという状況。上司は「証拠無しに子供を犯罪者にするのか?」というスタンス。

最後は自宅ドアに火炎瓶をぶつけられ、警察に電話をかけるのですが、「対応しかねます」との返答。

いやいやいやいや、落書きやら怪我やら明らかな被害が残っているんだから、ちょっと調べれば証拠だって目撃者だって出てくるでしょう。さすがに、こんな脚本じゃ、リアリティがないよ。不良少年の動機も弱いし、なかなか動かない警察っていっても、動かな過ぎて、いかにも無理やり極端な悪役を作ろうとしているんじゃないの?

・・・なんて思っていたら、映画の終盤で、

まじですか。

外国の話とはいえ、警察がそこまで当てにならないなんてことがあるのだろうか。どこの国の映画だったっけ?と思って、巻き戻して(「早戻し」なんて言葉はしっくりこない)見てみると、2013年のイギリス映画。これが「小さな政府」ってことなのだろうか。(参考:過去記事 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

ちなみに、『うぬぼれ』というタイトルは、先述の神父が教会で説教を行っているときに(その場には、タイラーとアンジェラ、マイケル、ピーター巡査もいる)、神父が使った「This is vanity.」というフレーズからとったもの。「うぬぼれ」とか、「虚栄心」とか、「虚飾」とかそんな意味らしいです。旧約聖書の言葉を引用したらしい。(虚飾 – Wikipedia

神父はマイケルに向けて、メッセージを届けようとしているようにも見えるのですが、届くわけもなく。

そして、むしろアンジェラの頭の中で、以下のフレーズがぐるぐる回り始めます。

「そして神のそばで、本当の平穏を手に入れることができるのです。自惚れを犠牲に」

「・・・痛みはなく、真の平穏が待っている・・・」

この「うぬぼれ」ではマイケルは、単なる悪役という位置づけに思えますが、2021年にその後の彼を主役にした『悪魔』という映画が作られます。どんな話なのかは、また別の機会に。

ちなみに、BS12の土曜しょ~と劇場は、たまに再放送もやっているので、録画予約しておけば、この2作、また放送されるかもしれません。いえいえ、中の人ではございません。

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