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勝手に読書感想文。漫画も映画も含みます

こじらせた自意識のエピソード『東京百景』

オフィスワークに就いていて、Teamsなんかを使っている人だったら分かってくれるんじゃないか思います。チャットの時とかに発言者のアイコンが表示されますよね。あれって、昔はIDカードに載せるような、履歴書に貼るような、正面を向いて、カメラ目線で、真顔で、スーツを着ていて、みたいな、そんな写真だと相場が決まっていたのですが、最近ちょっと自由になってきて、もっとカジュアルな写真を使ってもOKみたいな流れがあるような気がします。

自由になると、みんな個性を出してきます。ディズニーランドで撮った写真だったり、ペットと写っている写真だったり、渓流の釣り人だったり。

趣味のテイストが出てくるのは、そんなに気にならないのですが、仕事の感じが出てくると、ちょっと不穏な空気が漂います。マイクを持って講演しているような写真を見ると「俺、壇上から教える側だけど、何か?」と、どや顔が語りかけてきます。

子供と一緒に写っている写真もけっこう多いです。それくらいならまだいいのですが、純粋に「子供の写真」という人がいました。何がしたいのでしょうか。誰なのでしょうか。子供の許可はとったのでしょうか。気になります。

何の話をしたかったのか忘れかけていましたが、作家が自著にのせる自身の写真に苦労した話が『東京百景』にありまして、自意識をこじらせた人(=又吉氏)の苦悩を思い知らされました。

後輩がさらっと「新進気鋭の作家みたい」な写真を撮ってくれたのですが、

その写真を見た人間の大多数が、こいつ作家を気取りやがってと鼻で笑うはずだ。

と、却下です。

変な顔でとってみては? とも考えるのですが、

周りの眼を気にせず、自分の大切な初めての著書に変な顔を載せるなんて、凄く男らしくて素敵だ。

自身が決してそういうタイプではなく、周りの人間がそのことを知っていると確信する又吉氏は、変な顔の写真も採用できません。

目を閉じて撮ったり、走っているとこを撮ったり、歯を食いしばって撮ったりしても、違和感が払拭できず、結局、一心に蕎麦を食べている写真を使ったようです。(どの本でしょうか、知っている人がいたら教えてください)

ちなみに私の手元にある単行本版の『東京百景』には、古びたアパートのドアの前で、微妙な感じ(決して「しっかり」ではないし、ポーズもとっていないし、ふざけてもいない)で立って、カメラではない方向を見ている又吉氏の写真が載っていました。これが答えの一つなのかもしれません。

私はコンビニ前の証明写真機で撮った写真を使い続けています。

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